株式会社Real Moi
守田りく
組織、お客様との相互関係強化で社会にインパクトを。経営の自由度を維持した、着実な事業推進のきっかけとなった創業融資
2025年5月26日

2023年12月に設立された株式会社Real Moiは、DXコンサル・SES事業を軸にパートナーシップ型の事業展開も視野に事業拡張中。
想定以上に案件が増え売上が急拡大した一方で、ビジネスモデル上先払いする資金繰りのタイトさと今後の成長資金確保として、約3000万円の創業融資を実行。
自身の経験から業界の非効率さや構造的な課題に対して【営業力】が勝ち筋になると邁進する代表の守田さんに、成長曲線を描く今に至るまでの課題、そして未来についての問いに答えていただきました。
株式会社Real Moi – 代表取締役CEO 守田りく / @morita_realmoi
営業職やITコンサルを経て2023年“エンジニアの価値向上” を使命にReal Moiを創業。
耳が聞こえない父がエンジニアとして活躍する姿を見て、誰もが正当に評価される社会の実現を志す“Real Moi=本当の自分らしく” エンジニアが自分らしく働き、正当に評価される環境を提供し、社会課題の解決に挑み続けている
原体験から生まれた起業の動機と組織の立ち上げ
interviewer:
まずは、守田さんが起業された背景からお聞かせいただけますか?
守田さん:
正直、「起業したい!」という強い意志が最初にあったわけではありませんでした。
ただ、幼少期からずっと感じていた“ある違和感”が、自分の中にずっと残っていたんです。父は耳に障害を持ちながらITエンジニアとして働いていて、その姿を日常の中でずっと見てきました。
理不尽な扱いや、配慮が行き届かない現場を目の当たりにするたび、「これって当たり前でいいのかな」と疑問を持つようになりました。
そんな想いもあり、大学では法学部で、最初は弁護士を目指していました。それは、法律の力で弱い立場の人を守れる仕事に魅力を感じていたからです。
でも、東大の松尾研究所発のAIスタートアップの現場に出る中で、「課題に一番近い場所で、手を動かして変えていく方が、自分の性格にも合っている」と感じるようになり、
ITには、“できないことを、できるようにする”力がある。その可能性を信じて、自然と起業という選択肢が浮かび上がってきました。
営業力を軸に業界構造に挑む事業戦略
interviewer:
創業後はどんな形で事業を進めていかれたんですか?
守田さん:
2023年に創業し、最初は仲間と2人でスタートしました。
私は外に出て営業を、もう1人が社内の体制やバックオフィスを担当する、いわゆる“攻めと守り”の分業体制でした。今では業務委託も含めて、社員数は40名ほどになり、エンジニアや営業など幅広い職種のメンバーが加わっています。
営業は5名体制で、銀行、M&A仲介、不動産業界など、さまざまなバックグラウンドを持つプロフェッショナルが集まっています。さらに、IT業界で20年以上活躍してきた50代のベテランも在籍していて、若手とベテランの掛け合わせが組織に深みを生んでいます。
interviewer:
2000社へのアプローチと伺いましたが、どんな営業スタイルですか?
守田さん:
基本は泥臭くやっています。テレアポ、問い合わせフォーム、週1〜2回の交流会参加……とにかく手数を打っています。協業文化が強い業界なので、「まずは情報交換から」というスタンスで話を聞いてもらえることも多く、そこから関係構築に繋げていく形です。
interviewer:
“営業”にこだわる理由は、どんな想いがあるのでしょうか?
守田さん:
IT業界って、「営業」が軽視されがちなんです。
でも私は、営業が変われば業界構造も変えられると思っています。この業界は、多重下請け構造になっており、商流に入っている中抜き業者が利益をとり、エンジニアに適正な金額が支払われないことが多くあります。なので、営業力で商流をコントロールすることで、エンジニアの報酬も適正になり、現場で高いパフォーマンスがでて、会社にも利益が残る。つまり、“誰もが報われる仕組み”に近づけると思っています。
それに、エンジニアに年齢制限があったり、外国籍NGの案件が多かったり、ジェンダーバイアスが残っていたりと、業界にはまだまだ改善すべき点があります。
一方でAI時代による徹底的な業務効率化により、無駄な業務を極限まで減らし、営業がエンジニアと顧客との対話に集中できる環境が整備されつつありますし、伸びしろもあると思っています。
今後、企業の人手不足と労働市場の流動化はより加速してくので、そこに当社の営業力を生かしながら、優秀なエンジニアが企業の価値提供を最大化するサポート量を増やしていきたいです。
創業融資が支えた想定以上の成長と、事業への集中
interviewer:
創業融資を受けられた経緯について教えてください。
守田さん:
営業メンバーがすごく頑張ってくれ、想定以上に取引企業が増えました。
うれしい悲鳴ではあるんですが、人件費が先払い、売上は後払いというビジネスモデル上、資金繰りが一気にタイトになるんです。
年末には、通常の3倍近い売上を記録した月もあり、「このままだと2〜3月が危ない」と感じ、創業融資を検討し始めました。
当初は2000万円を希望していたのですが、事業計画と必要資金を洗い出した結果、約3000万円の融資が実行されることになりました。
interviewer:
弊社がご支援をさせていただきました。ありがとうございます。
担当とのやり取りはいかがでしたか?
守田さん:
想像以上にスムーズでした。書類は用意してもらえたし、ヒアリングを受けた後はよい意味でほとんど“お任せ”の状態。
自分でできないとは思っていませんでしたが、そこに時間を使うよりも、事業に集中した方がいいと判断しました。
担当の片岡さんも、本当に信頼できる方で、多くの融資支援を経験されている中で、もちろん弊社のビジネスモデルへの理解度も深いし、無駄なやり取りが一切なくて。「あ、この人すごく仕事できるな」って感じましたね。
interviewer:
今回ファイナンスされた、創業融資という制度について、特にどんな方への活用をおすすめしたいですか?
守田さん:
わたしの周りにいる学生起業家や、自己資金が限られている若手起業家にも、創業融資含めデットファイナンスという手段を知ってほしいと思います。
ファイナンスの性質が異なるので各々、メリットデメリットがありますが、VCから出資を受ける場合、その後の事業成長と経営の方向性を定めながら適切な方としっかりとやり取りしていく必要性があります。
その点、経営の自由度を保ったまま、創業期に着実に事業を進めるファイナンスといえる創業融資があるということを、もっと多くの人に届けたいですね。
事業も組織もより好循環のステージへ
interviewer:
今後のビジョンや、組織づくりに関する展望を教えてください。
守田さん:
同じような業態の会社はたくさんあります。でも、うちは営業力、優秀なエンジニア、社会課題への当事者意識という3つの強みがあると思っています。
「後発」かもしれませんが、“この業界を良くしたい”という熱量と覚悟は負けていないですし、各業界から優秀なエンジニア含め、共感する仲間が増えています。
今回、創業融資のファイナンスを実行したことで「自分の事業を自分のスタイルで育てる」ことにつながったと思っています。
事業も組織も、より好循環にしていくために、まず足元の事業と顧客への価値提供の基盤をより強くしていきながら、組織・顧客との相互関係強化をし、より社会にインパクトを出せる会社にしていきたいです。
※本記事は、2025年5月26日時点の情報です
※インタビュアー・編集:株式会社INQ 遠藤 朱美
※デザイン:高橋 亜美さん
▼本プロジェクトのコンサルタント担当者

片岡優也
1992年滋賀県野洲市生まれ。明治大学法学部卒。
卒業後、営業スキルを鍛えるため、リクルート系大手人材派遣会社にて営業職として勤務。 営業部門で年間表彰を受けるなどトップセールスの記録を持つ。 ビジネスにおいて金融及び法律の知識は必須であるという考えから、行政書士資格を取得する。 前職の営業経験とフットワークを活かし、2年間で200件を超える融資案件を担当。 クライアントの問題解決のために多角的なコンサルティングを行っている。 迅速な対応と丁寧なフォローでクライアントの信頼も厚い。
2匹の猫、一児の父。