株式会社Hagakure

奥 雄太

複数回の融資で合計6,000万円超の資金調達に成功「適切なタイミングで融資を活用し事業を一気に成長させられた」

2022年12月21日

Webマーケティングの登場で、予算の少ない企業も効果的なマーケティング活動ができるようになりました。しかし、Webマーケティングのノウハウを持たない企業は代理店に頼らざるを得ず、予算が少ない場合は依頼を受けてもらえないケースも見られます。

株式会社Hagakure(ハガクレ)代表取締役の奥 雄太(おく・ゆうた)さんは、このような現状を打破したいと考え、予算に関係なくWeb広告運用を請け負うサービスと、Web広告運用スキルを身に付けられるスクール「デジプロ」を提供。デット(融資による資金調達)を活用しながら着実に業績を伸ばしてきました。

そんな奥さんも起業当初は資金繰りの知識が無かったため、利用したのはエクイティ(株式発行による資金調達)のみ。「事業のことで頭がいっぱいで、デットにまで手が回らなかった」と話します。

本インタビューでは、創業初期の資金繰りに関する課題や、融資の活用方法、今後の展望などについて代表取締役の奥さんに話を聞きました。

代表取締役 奥 雄太 さん
1992年兵庫県尼崎市出身。関西学院大学に在学中にカナダ留学を経験。卒業後、重機メーカーに就職しマーケティング職に従事。Webマーケティングに興味を持ち、GMOインターネットに転職。2018年10月に株式会社Hagakureを創業し、Webマーケティングスクール「デジプロ」を開講。

インタビュアー:若林 哲平
株式会社INQ代表取締役CEO、行政書士法人INQ代表。1980年生まれ。青山学院大学経営学部卒。融資サポートを中心に、さまざまな領域のスタートアップのシード期の資金調達を支援。年間130件超10億以上の調達を支援するチームを統括。行政書士/認定支援機関。

合計6,000万円超の資金を融資で調達し事業に投資

ーーまずは、起業当初の資金繰りの課題について聞かせてください。

エクイティに関しては事前に自分で勉強していたのである程度は理解していたものの、デットに関してはほとんど何も知らない状態でした。事業のことで頭がいっぱいだったので、新たに勉強するというところまでは手が回らなかったです。

ある程度の売上が立つようになり余裕が出てきた段階で、融資の利用を検討しました。それで起業家の知人にINQさんを紹介してもらい相談したという流れです。

ーー最初の融資利用後も日本政策金融公庫から計4800万円、保証協会付融資では1500万円の融資を受けていますが、どのような用途に使いましたか。

主に採用活動の強化です。スクール事業には教材作成のできる人材を確保して教材を充実させ、広告運用事業には経験豊富な運用担当者を採用して需要に応えられるようにしました。

これらの投資が功を奏し、今期の売上は初年度の50倍以上にまで伸びました。適切なタイミングで融資を利用できたおかげです。

ーーすごい成長ですね。創業年度である2018年にエクイティを利用して以降の資金調達方法はデットのみのようですが、エクイティは選択肢に無かったのでしょうか。

ありがたいことに想定以上にサービスが伸び、継続的な売上も見込めたので、エクイティは選びませんでした。エクイティだけに頼ると、どうしても株式1枚あたりの価値や権利が低下する「希薄化」が気になりますし。

具体的な返済の目処が立っている場合はデットの方が適切だと判断し、デットを選びました。

融資申請は想像以上にスムーズ「質問に答えるだけでどんどん進められた」

ーーINQのサポートにはどのようなことを期待していましたか。

社内に財務担当者がいないので、その役割を担ってもらうことを期待していました。

融資制度に関する知識や事業を伸ばすために必要な資金の見積もり、調達先の選定、書類作成のサポートなどですね。

ーー実際にINQのサポートを受けた評価と感想を聞かせてください。10点満点中だと何点でしょうか。

10点満点です!資金繰りの話って相談しにくい部分もあると思うんですけど、最初の打ち合わせのときに丁寧にヒアリングしてもらえたので、信頼して包み隠さず話すことができました。

その後も、質問に答えるだけで最適な融資制度を提案してくれたり、書類作成をサポートとしてもらったりと、想像していた以上にスムーズに融資を進められたので、感謝しています。

ーーありがとうございます。INQをパートナーに選んだ決め手は何でしょうか。

仕事のパートナーを選ぶときは、その仕事を好きでやっているかどうかを重視しています。

若林さん、そして担当してもらった片岡さんからは、自分たちの仕事は社会的意義のあることだと信じて取り組んでいることが十分に伝わってきたので、他とは比較せずパートナーに選びました。

ーーこれから起業する人に向けてアドバイスをお願いします。

お金の問題って、誰に相談したらいいかわからないですよね。特にこれから起業する人であれば、なおさら。

融資のサポートをしている企業や会計事務所などはありますが、スタートアップ目線の支援という観点では、INQさんがトップクラスだと思います。

スタートアップの成長フェーズに合わせて最適な資金調達方法を提案してくれるので、まずは相談してみてください。

業界の「不」を無くすためWebマーケティング事業を立ち上げ

ーーここからは奥さんご自身のことやHagakureのことを聞かせてください。最初に就職したのは重機メーカーだったんですね。

学生時代に発展途上国を周る中で、「ビジネスを通して途上国に貢献したい」と考えるようになりました。そして海外でも評価が高くシェアも獲得している、重機を扱う企業であれば貢献できるのではないかと思い、重機メーカーに就職することにしたのです。

メーカーではマーケティングの仕事をしていましたが、アナログな部分が多く、アクションに対する効果が見えにくい点にもどかしさを感じていました。

そんなときに、デジタルデータを元に効果測定できるWebマーケティングに魅力を感じ、Webマーケティングの代理店に転職することにしました。

ーー2018年にHagakureを設立した背景を教えてください。

Webマーケティングの世界から「不(不平、不満、不幸)」を失くしたいと思ったからです。

代理店によっては、広告予算が少ないと仕事を受けなかったり、途中で予算が下がると契約を継続しなかったりといったケースがあります。これでは予算の少ない中小企業やスタートアップは圧倒的に不利です。また、代理店によっては未経験者が運用を行うこともあるため、成果にバラつきが生まれてしまいます。

このような不公平な状況を打破したいと考え、Hagakureを設立しました。

ーー会社名の由来を教えてもらえますか。

社名のHagakureは、ある武士が書いた書物『葉隠』から取りました。この書物の中に「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という有名な一節があります。

当時は「武士は潔く死ぬこと」と解釈されたそうですが、私は「本気で生きろ」という意味だと解釈しています。大事なのは1日1日を大切に生きることだ、と。

一緒に働くメンバーやサービスを受けるお客様、取引先パートナーにもそういう生き方を実現してもらいたいという思いを込めて、Hagakureにしました。

ーーいつ頃からそのような生き方を意識するようになったのでしょうか。

2005年に起きた「JR福知山線脱線事故」のときです。

当時、私は中学生。学校が事故現場から近かったため、緊急治療場所として使用されました。多くの負傷者が保健室や体育館に運ばれてくる中に、私と同じぐらいの年齢の子どもがいて……。

その光景を見て「年齢に関係なく、死は訪れるものなんだ」と強い衝撃を受けたのを覚えています。それと同時に自分の人生を「悔いが残らないように生きよう」と決心したんです。

ーー中学生という多感な時期に、そういった経験は確かに大きな影響を受けそうですね……。

Web広告運用とWebマーケティングスクールを軸にサービスを展開

ーー続いて、事業内容について教えてください。

Web広告運用とWebマーケティングスクールの2つの事業を行っています。

弊社のWeb広告運用の特徴は主に2つ。1つ目は先ほどもお伝えしましたが、予算に関係なく支援すること。そして2つ目は、経験豊富なメンバーが担当することです。これらの特徴によって、予算の少ない企業も着実に広告の成果を得られます。

おかげさまで紹介で仕事の依頼をいただくことが多いため、無理な営業をせずクライアントと誠実に向き合うことができています。「サービスはあるけど広告運用のノウハウや予算が不足している」といった悩みを抱えているスタートアップ企業におすすめのサービスです。

ーーWebマーケティングスクールの「デジプロ」はどのようなサービスですか。

デジプロはWeb広告運用を学べるスクールで、対面またはオンラインで受講できます。主な顧客は転職したい個人と、Web広告運用ができる人材を育成したい法人です。

デジプロの特徴は、Web広告運用の現場で使えるスキルを、実際に手を動かしながら身に付けられることです。たくさんの受講者が未経験からWebマーケティング職への転職を成功させています。

法人のお客様の場合、デジプロを利用することで「広告運用を外注している代理店と上手く連携できるようになった」「代理店に依頼していた仕事を巻き取れるようになった」といった声を聞いています。

海外進出を視野に国内でのスケールを狙う

ーー今後、新しいサービスをリリースする予定はありますか。

Web広告運用に必要なスキルを動画形式で学べる「デジプロプラス」というサービスをリリースしました。

デジプロを提供する中で集まった「継続的に学びたい」「社内展開したい」といった要望を反映したサービスになっており、eラーニングのような形式で学ぶことができます。

ーー最後に、今後の展望を聞かせてください。

Web広告運用とデジプロ、そしてデジプロプラスを通じて企業のWebマーケティングをさまざまな側面から支援していきたいです。

直近の目標は国内でスケールして上場すること。その後は海外への進出も視野に入れています。

今後の成長に向けてメンバーを増やしたいので、職種を問わず、弊社の価値観に共感できる人からのアプローチを待っています。

ーー奥さん、本日は貴重なお話しいただきありがとうございました。

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